ひよこ風呂(仮)

元ジャニヲタで現ヅカヲタの観劇記です。たまに歌舞伎も

宝塚との出会い

私はかつてジャニヲタでした。

そのジャニヲタが如何にして宝塚に出会ったのか…という話になるところですが、私の場合ヅカとの出会いはジャニヲタ以前に遡ります。

 

私の初宝塚は1997年の花組宝塚大劇場公演、宝塚グランド・ロマン「ザッツ・レビュー」です。

古いですか。そうですね。

 

親戚との旅行でした。京都と奈良と、なぜか宝塚市に行きました。旅行の出資者は祖母でしたが、宝塚観劇を旅程に入れたのは誰だったのか。おそらく私の母だと思います。

 

宝塚にはおそらく電車で行ったのだと思います。うっすらと、宝塚駅の記憶があるからです。「駅の周りに何もなかった」という記憶が。ヅカヲタになってから訪れたムラは、記憶の中の街よりも「だいぶ周りにいろいろあった」のですが、それはただ単に記憶が薄れただけなのか、震災の2年後という時期が影響していたのかは、もう分かりません。当時の私は恥ずかしながら、ニュースで見たテレビの中の世界と宝塚が繋がってはいませんでした。

 

劇場の中の記憶は全く残っていないのですが、プログラムを買ってもらってその冊子の後ろの方に載っている素化粧のスターさんが、特にトップスターさんが「普通に美しい女性」だということにびっくりしたのを覚えています。舞台中継すらほとんど見たことがなく、劇団員が女性のみ、ということだけを知っている程度だったので「どう見ても綺麗なお姉さん」にしか見えない真矢さんが男性を演じるというのが信じがたく思えました。

 

そう、当時のトップスターは真矢みきさん。

 

よく生徒さんが宝塚を初めて見たときに「その華やかさに魅せられて、そのまま宝塚を目指すことを決めた」とのようなことを仰いますが、私が圧倒されたのはその世界観ではなく「トップスターの力」でした。

 

歌も、芝居も、ダンスも。技術ではなく、力の差。他のスターさんとはまるでパワーが違う。

 

私の目は常に真矢さんに釘づけでした。

 

とにかく圧倒的な華。私は今でもどちらかと言うと真ん中に立つ人には技術よりも華を求める傾向にあるのですが(そのくせ好きになるのは真逆のタイプだったりする)、この体験が相当な影響を与えてるのでないかと最近思うようになりました。皆から好かれるお人好しの主人公・泰平、常にその泰平を中心に(当たり前なのだけれど)回るストーリー展開、誰もがその泰平の幸せを願わずにはいられなくなる結末…何より真矢さん演じる泰平の魅力によって物語にぐいぐいと引き込まれました。

 

今となってはそれは、トップスターありきの宝塚の手法に嵌められていた部分もあるかと思うのですが、頂点に立つ人の凄さを思い知った宝塚との出会いでした。その頃の私は言うなれば佐賀にいた頃の朝夏さんと同じような境遇だったのですが、鮮烈な印象を与えられはしたもののその「凄さ」に圧倒されるだけで憧れるまでには至らず、ヅカヲタになった今、しまった一度くらい記念受験しておけばよかった!とネタになったのに!と思ったりします。観劇の3ヶ月ほど前に進路のためにバレエを辞めていたから、そのタイミングのずれは大きいかもしれません。運命とはそう言うものですね、まぁ様(私は田舎の人間なので、田舎から出てきてトップになった方に弱いです)。

 

結局その後20年近くヅカヲタとは縁のない人生を送った訳ですが、この一度だけの体験は私の記憶に色濃く残り、テーマ曲の「レビュー 明日への希望」を忘れることはありませんでした。

 

「それは華やかに輝いて ときめきに胸は躍る」

 

20年経って、この歌詞を実感する日が来ようとは。

 

ありがとうございます、公平先生。 私は今、宝塚に力をもらっています。